きれいに咲いた枯れた花
きれいに咲いた枯れた花
割れた花瓶にさし
窓辺に置いた
盛りがついて 化粧していた
真っ赤な口紅がよく似合う
不思議と何でもよく似合うあいつ
いつの間にか造花に紛れ込んでやがった
言わないでもいいよ。おまえが何者か!
恐ろしい 聞きたくない
咲くことのない美しい花
決して咲いてくれない花
海に見える窓辺においたら
大波をおこした。
波にさらわれたとほっとしたら
翌日 早朝にずぶぬれで帰ってきた。
朝食に 自分の球根食べてやがった
前よりもっときれいに枯れていた
後悔
今欲しい すべてを
去年のぼくはみな持っていた。
無くなるはずないと
破れたポケットに放り込んでいた
いつ なくしたのかも知らない
今思えば ぼくか君が 君がぼくか
わからないくらい 愛していた
今 暗闇で 本を読んでも
いつの間にか君が 主人公
ページを逆に めくれたらいいのに
神様 一度だけでいい 逆走させてください。
今、手を君にかざしてみたら
君のぬくもりは掴めるけれど
君は誰かと話してる
おれは古いアクセサリーの
一つに過ぎないのか
もう一回戻ってきてくれと
君に投函しない手紙を書いた。
黒い紙に黒いペンで
誰にも読めないように
雨
雨が雨に濡れて
又その雨が雨に濡れる
繰り返し繰り返す世の中
誰もみんなかわいそうなね
あの日この人その人
もっともっとたくさんの人が
雨粒になり下がる
負けたくないから もっと強い雨になり
隣も又強い雨になる
強く強く激しく アスファルト打つ
強く強く悲しく
泣きたくなきゃ自分で泣き止めよ
涙なんて際限ないでしょ
一人でいい 灯になってくれないか
いつかのランドセル送りの様に
1本のろうそくに火が付けば
2本4本8本と増え続け
やがて光の輪になり
空の虹となる
勇気を出して
大丈夫だよ、、できるよ だれもが
神様はどんなに弱い手でも
強く握って 話さないでくださる。
例え どんな汚い手でも強く強く
あなたに尽くし尽くした人生
美しくもない 香もない花 種もない花になりたい